この効果は、人の長期記憶と短期記憶によってもたらされると考えられています。

最初に与えられた情報は印象に強く残りやすいため長期記憶として保持され、最後に与えられた情報は、直近の記憶として短期記憶に残りやすい、というわけですね。

この系列位置効果(Serial position effect)では、単に「記憶や印象に残りやすいかどうか」に焦点が当てられています。

では、順番によって否定的な印象が強くなることはあるのでしょうか?

コッホ氏ら研究チームは、その現象を「Serial position negativity effect」と名付け、実際にそのような傾向があるのか実験することにしました。

(これは、系列位置効果「Serial position effect」に「negativity(否定性、消極性)」という語を追加した言葉なので、日本語では「系列位置否定効果」とでも呼べるかもしれません。この記事では、便宜上、この表現を用います)

面接の順番が後になればなるほど否定的な印象を持たれやすいと判明

研究チームは、系列位置否定効果(Serial position negativity effect)が生じるのか調べるために、いくつかの実験を行いました。

1つ目の実験では、992人の参加者に、20人の人物のFacebookのプロフィール写真を順番に見てもらい、彼らについて説明してもらいました。

順番が後になるにつれ、否定的に評価されると判明
順番が後になるにつれ、否定的に評価されると判明 / Credit:Canva

その結果、参加者たちは、最初の数人の人物を非常に肯定的に説明し、その説明に、それぞれ平均6.2語の肯定的な単語を用いました。

しかし、一連の作業が進むにつれて、参加者たちの説明は大幅にネガティブなものとなり、20人目の人物の評価では、肯定的な単語の平均数が4.7語にまで減少しました。

人物の写真を見た時にイメージとして浮かぶ「誠実」「爽やか」「知的」などの肯定的な単語は、その人の評価に大きく関わります。