3面等価の原則、所得(Income) = 生産(Product) = 支出(Expenditure)の関係ですね。

2. 国民総所得とは?

国民総所得とは、上述したように国内全体ではなく、国民全体の所得の合計です。

これは、GDPを基本として考えると次のような式で表現できることになります。

国民総所得(GNI) = 国内総生産(GDP) + 海外からの所得 – 海外への所得 = 国内総生産(GDP) + 海外からの所得の純受取

上式はGDPに対して、海外との所得の受払いの正味分を調整したものとなります。 この所得とは、具体的には雇用者報酬と財産所得になるそうです。

また、GNIから固定資産の減価分の固定資本減耗(企業会計における減価償却費に相当)を差し引いたものが、国民純所得(NNI: Net National Income)と呼ばれます。

国民全体の正味の所得の合計となります。

日本の統計では単に国民所得(NI: National Income)と表記されていますが、OECDではNNIとなっているので、本ブログではOECDの表記に合わせます。

国民純所得(NNI) = 国民総所得(GNI) – 固定資本減耗

日本は国内総生産が停滞してきましたが、海外への投資が超過しており、近年では投資収益が大きく超過しています。

このため、GDPよりもGNIの方が実態としての所得水準を良く反映しているのではないかという意見もあるようです。

3. 日本の国民所得

具体的な統計データで日本の国民所得(GNI, NNI)を確認していきましょう。

図1 国民総所得・国民純所得 日本国民経済計算を基に作成

図1が日本の国民総所得、国民純所得の推移をグラフ化したものです。

国民総所得(黒の折れ線)はGDP(青)に、海外からの所得(緑)を加え、海外への所得(赤)を差し引いたものとして表現されています。

国民純所得(ピンクの折れ線)は、国民総所得から更に固定資本減耗を差し引いたものです。