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この謎を解き明かすため、イギリス・アメリカ・モロッコの共同研究チームが現地調査に乗り出しました。

調査の結果、ブーレマーヌ周辺で新たに複数のスピコメルスの骨格が発見され、その全身が驚くほどのスパイクで覆われていたことが判明しました。

スピコメルスは、肋骨だけでなく、腰から突き出す巨大なトゲや、刃のような骨が体側を走り、さらにトゲで縁取られた骨の襟(ネックカラー)まで備えていました。

研究によると、首の両側に突き出たトゲは87センチ以上に達し、生前はケラチンの鞘に覆われてさらに長くなっていた可能性が高いといいます。

つまり、スピコメルスは「全身を武器化した恐竜」だったのです。

研究チームは、この特徴がこれほど古い時代のアンキロサウルスに見られること自体が進化の常識を揺るがすと指摘しています。

ド派手な装甲は防御目的か、それとも外見アピールか?

スピコメルスの化石が示すのは、アンキロサウルス類の防御システムが従来考えられていたよりもはるかに早く進化していた可能性です。

通常、動物の体にある誇張された構造――たとえばクジャクの派手な羽やシカの大きな角――は、性的選択、つまり繁殖相手をめぐる競争やアピールのために進化したと考えられています。

チームは、スピコメルスの華やかな装甲も同じように、単なる防御ではなく、仲間内での誇示や求愛行動に使われたのではないかと推測しています。

ただし、その装甲を維持するのは大きなエネルギーコストがかかるはずです。

しかも、肋骨や体側に融合したトゲは筋肉の付着位置を制限してしまうため、運動能力を犠牲にしていた可能性もあります。

研究者たちは「この恐竜が実際にどうやって動いていたのか、まだほとんど分かっていない」と述べています。

発見されている化石の部位画像がこちら。

さらに興味深いのは尾の構造です。

先端部分は未発見ですが、残された骨の形から、棍棒のような武器を持っていたと考えられています。