恐竜といえば、鋭い牙や巨大な体を武器にするイメージが強いですが、地球の歴史をひもとくと、私たちの想像を超える奇妙な姿をした種も数多く存在しました。
その中でも、北アフリカ・モロッコで発見された鎧竜「スピコメルス(学名:Spicomellus afer)」は、研究者たちを驚かせた存在です。
全身を覆う骨のトゲを持ち、その一部はなんと長さ1メートルを超えていたと推定されているのです。
しかも、この恐竜は1億6500万年前、アンキロサウルス類としては最古の時代に生きていたことが明らかになりました。
この発見は、鎧竜(アンキロサウルス類)の進化の歴史を大きく塗り替える可能性を示しています。
いったい、スピコメルスとはどのような恐竜だったのでしょうか?
研究の詳細は2025年8月27日付で科学雑誌『Nature』に掲載されています。
目次
- モロッコで見つかった「奇妙すぎる恐竜」
- ド派手な装甲は防御目的か、それとも外見アピールか?
モロッコで見つかった「奇妙すぎる恐竜」
2019年、英ロンドン自然史博物館(NHM)の古生物学者は、ケンブリッジの化石商から奇妙な恐竜の骨を入手しました。
これは肋骨の一部でしたが、その表面には骨と一体化したトゲが突き出しており、動物界ではこれまでに確認されたことのない構造だったのです。
研究チームは、この驚くべき恐竜に「スピコメルス・アフェル(Spicomellus afer)」と名付けました。
名前の由来は、ラテン語で「トゲ」を意味する「spica」と「首輪」を意味する「mellum」にあります。
つまり「トゲの首輪を持つ者」という意味合いです。
しかし当初、この化石が本当にアンキロサウルス類に属するのかどうかについては疑問視する声もありました。
なぜなら、アンキロサウルス類は通常、背中を覆う骨の板(装甲)や棍棒のような尾を持っていましたが、肋骨に直接トゲが融合している例は前代未聞だったからです。