また、CRT(認知反射テスト)という、よく考えれば簡単に解けるクイズのスコアもわずかに上がりましたが、実際に結果(フェイクを見抜く力や陰謀論を信じにくくなること)と一貫して結びついていたのはAOTの変化だけでした。

つまり、単に頭を回転させて考えるだけでなく、「もしかすると自分は間違っているかもしれない」という謙虚な態度が重要で、これこそがフェイク情報に強くなるための鍵なのだと分かったのです。

認知ワクチンの意外な副作用

認知ワクチンの意外な副作用
認知ワクチンの意外な副作用 / Credit:川勝康弘 . Photoshop

今回の研究は、私たちがフェイクニュースや陰謀論といった誤った情報にだまされにくくなるために、「考え方そのものを変える」新しい方法を提案したものです。

私たちはふだん、何かのニュースや情報を見たり聞いたりするとき、「これは本当だろうか?」と一度立ち止まるよりも、「なるほど、そうなのか!」とすぐに納得してしまいがちです。

でも、フェイクニュースや陰謀論にだまされないためには、自分がもともと持っている意見や考え方を「ちょっと疑ってみる」ことが重要だと心理学では考えられています。

この研究で使われた「認知ワクチン」というのは、自分の意見や考え方をすぐに信じ込まないように促す短いメッセージのことです。

今回の実験では、この短いメッセージを読んだだけで、自分の意見を「絶対に正しい」と決めつける態度が減り、情報を冷静に判断できるようになることがわかりました。

この考え方の柔軟性を高める方法は、特定のニュースやデマに限定されるのではなく、色々な種類の誤った情報に対して幅広く役立つ「心のワクチン」になる可能性があります。

今までの研究や教育方法の多くは、特定のテーマ(例えばコロナのデマなど)についてのみ注意を呼びかけるものでしたが、今回は「考え方そのもの」を変えることで、新しく出てきた別の話題にも対応できる方法だと言えます。