私たちの頭は、知らず知らずのうちに自分に都合よく情報を集めたり、物事を偏って解釈したりしてしまいます。
あえて言うなら、頭の中に「偏った眼鏡」をかけてしまっているようなものです。
この「偏った眼鏡」の代表的な例が、「確証バイアス」と呼ばれるものです。
確証バイアスとは、自分の意見を支持する情報ばかりを探し、反対の意見や都合の悪い情報を無視してしまう傾向のことを指します。
また、私たちはしばしば自分が何かを理解していると思い込みますが、実際にはよく理解できていないこともあります。
これを「理解の錯覚」と言います。
このような「考え方のクセ」が強い人ほど、フェイクニュースや陰謀論に簡単にだまされやすくなることが分かっています。
では、どうしたらこうしたクセを修正できるのでしょうか?
最近、心理学の研究者が注目しているのが、「積極的開放思考(Actively Open-minded Thinking, AOT)」という考え方です。
積極的開放思考(AOT)とは、自分の考えに絶対的な自信を持たず、むしろ「自分は間違っているかもしれない」と謙虚になって、他の意見や新たな証拠にも積極的に目を向けようとする態度のことを指します。
これまでの研究によると、このAOTのスコア(AOTのレベルを測った数値)が高い人ほど、偽情報に騙されにくいことが分かっています。
逆に、AOTスコアが低い人ほど陰謀論を簡単に信じてしまう傾向も報告されています。
そこで今回の研究チームは、AOTを高めることができれば、結果としてフェイクニュースや陰謀論に騙されにくくなるのではないかと考えました。
つまり、ニュースや情報の真偽を一つずつ検証していくのではなく、私たちの「考え方そのもの」を鍛えて、フェイクに騙されにくい頭を作ろうという試みです。
こうした考え方のクセを修正する試みは「認知ワクチン」とも呼ばれていて、医学で病気の予防接種を受けるように、事前に心の抵抗力をつける方法として期待されています。