話しが飛んで申し訳ないですが、ひと昔前、北米でクーポンビジネスが流行ったことがあります。そのクーポンを持っていけば3割、5割、時として7割引きといった割引を得られたのです。企業は売り上げ増のために高いコストのクーポンを必死に提供しました。ところがこの流行は2-3年で一気に醒めたのです。理由はクーポンを利用する客はリピーターにならないという結果が出たのです。
これは何を意味するか、といえば本当のファンを作るには目先のディールではなく、そのディールが長期的にウィンウィンの関係にならないとだめだということではないでしょうか?
トランプ氏のマーケティングはウィンウィンではなく、ウィンルーズなんです。つまり誰かが得をし、誰かが損をする、そういう話で、トランプ氏は相手に力づくで損を与えているわけです。これは常識的に見て長続きするわけがないのです。
関税の話はまさにそうです。では外交はどうでしょうか?これもトランプ氏の特徴は外交という天秤において当事者であるアメリカのみならず、第三者として間に入る場合でも天秤のどちらかの肩を持つのです。北米にはミディエーター(仲裁者)という仕組みがあります。要はなんでも裁判に頼っていてはシステム破綻するので簡単なもめごとは仲裁にて妥結するわけです。ではトランプ氏はよき仲裁者かといえば私にはそうは思えないのです。常に「どちらの密が甘いか」天秤にかけているそんな風に見えるのです。
トランプ氏はもともと外交には興味がない人です。ただ、ポイント稼ぎはしやすいので軽い気持ちでちょっかいを出してきたのです。ところがウクライナにしてもイスラエル問題にしても泥沼にはまってしまいました。最近もっと厄介な問題となっているのがインド外交です。モディ首相と関税問題をきっかけにびっくりするほど冷たい関係になっています。モディ首相はトランプ氏が何度か試みた電話による懐柔を全部拒否。まるで別れた恋人が未練がましくすがるのに対して片方はプンプン丸の状態のようなものです。