この会社は、様々な社会インフラを支える機器のメーカーの子会社で、保守サービスを担当していました。しかし顧客満足度が低く、収益性も低いのが問題でした。

当初、多くの人たちはこう考えていました。

当初の問題定義 「サービス担当者の技術力が低いのだろう」

そこでサービス担当者のスキルを強化しましたが、顧客満足度は変わらず、状況は変わりませんでした。

そこで、主な関係者が集まり、合宿で本音の議論をしました。 そしてわかった事は、問題理解が大きく間違っていた、ということです。

実は、サービス担当者の技術力は、お客様から高く評価されていました。

本当の問題は、「修理の受付をしてから修理の完了をするまでが時間がかかりすぎること」だったのです。

お客様は、例えば駅の自動改札などが故障して、業務が行えずに困っています。すぐにでも修理したいわけです。

しかし、電話で修理を依頼しても、サービス担当者はいろいろなところに修理で駆け回っているので、なかなかつかまらず、修理スケジュールを確定できません。

問題の再定義 「修理の受付をしてから修理完了までが時間がかかりすぎる」

こうして、問題が正しく定義できれば、正しい解決策を講じることができます。

解決策 「受付→修理の業務フローを最適化し、修理完了までのリードタイムを最短化する」

この結果、この会社の顧客満足度は業界1位になり、サービス担当者も最適なスケジュールで修理業務が行えるようになって、業務効率は大幅に改善。より多くの修理業務がこなせるようになりました。そして他社保守サービスも受託するようになって売上は大きく増えて、高収益企業へと生まれ変わりました。

この事例から学べることは

「問題の正しい理解が解決のカギ!」

ということです。

問題を正しく理解すれば、解決策は全く変わります。

たとえば、

問題の現象①:DXがなかなか進まない ありがちな問題設定と対策:IT知識が弱い→ITリスキリング(でもDX進まず) 問題の再定義と対策:事業変革の必要性を感じてない→変革意識の向上