研究によれば、海底由来のメタンの多くがこうした微生物によって酸化されていると考えられます。
研究チームは、この仕組みを理解することで「温室効果ガスであるメタンの排出を抑制する新たな手段につながる可能性がある」と期待しています。
地球温暖化対策というと先端技術に目が向きがちですが、実は私たちの知らないところで小さな微生物たちが重要な役割を果たしているのです。
さらに学術的な観点では、同様の電気的共生関係が他の環境中にも存在するのか、新種の「電気を通す微生物」が他にもいるのかといった新たな疑問も生まれます。
実際、過去には淡水環境に棲む別種の古細菌(ANME-2d)が似たような多ヘムシトクロムを使って金属に電子を渡す仕組みを持つことが報告されており、今後さらに未知の電気的な微生物同盟が見つかるかもしれません。
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参考文献
Scientists reveal how microbes collaborate to consume potent greenhouse gas
https://dornsife.usc.edu/news/stories/microbes-collaborate-to-consume-ocean-methane/?utm_source=chatgpt.com
元論文
Redox conduction facilitates direct interspecies electron transport in anaerobic methanotrophic consortia
https://doi.org/10.1126/sciadv.adw4289
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。