同年、ジャパネットホールディングスがクラブを完全子会社化したことで経営は立て直され、劣悪だった練習環境の改善や財政状況が一変した。様々な困難を乗り越え、クラブは悲願のJ1昇格を果たす。この時、試合終了間際に長崎サポーターが歌っていたのが『V-ROAD』であった。キャッチーな曲調と力強い歌詞で瞬く間にJリーグファンに広まった。

翌2018年の第100回全国高等学校野球選手権大会では、長崎県の創成館高校が応援曲として『V-ROAD』を初採用し、甲子園球場で披露された。その応援を受けた下関国際高校も翌年から同曲を応援歌として採用。2022年大会ではこの曲に後押しされ、数多くの強豪校を撃破し山口県勢としては37年ぶりとなる決勝に進出。準優勝という偉業を成し遂げた。

こうして甲子園でも演奏される『V-ROAD』は、全国の高校野球応援にも取り入れられ広がりを見せている。今ではサッカーと野球をつなぐ“応援の象徴”としても親しまれている。

ファジアーノ岡山 写真:Getty Images

『桃太郎』(ファジアーノ岡山)

採用校:岡山学芸館高校(岡山県)

2025シーズン、J1リーグに初挑戦しているファジアーノ岡山。そんな岡山の名物応援『桃太郎チャント』が岡山学芸館高校の応援歌として採用されている。

童謡『桃太郎』のメロディーに乗せて「岡山です!岡山です!岡山、岡山、岡山です!もっかい言うけど岡山です!」と県名を連呼するユニークな歌声が甲子園球場に響いた。

このチャントは岡山サポーターがアウェイゲーム前に自己紹介の意味を込めて歌うもので、対戦相手のサポーターからも楽しみにされるほど人気が高い。ルーツは2008年ごろに遡る。当時日本フットボールリーグ(JFL)に所属していた岡山がアウェイ戦を行う際、サポーター団体が考案し歌い始めたのがきっかけである。