
8月23日、第107回全国高等学校野球選手権大会の決勝が阪神甲子園球場(兵庫県)で行われ、沖縄尚学高校が日本大学第三高校を3-1で下し、悲願の初優勝を果たした。
今大会でも様々な名勝負が生まれ、球場を訪れた観客やテレビの前の野球ファンを大いに沸かせたが、そんな選手たちを後押したのがアルプススタンドからの応援である。各校の応援団が奏でる曲の中にはJリーグクラブのオリジナルチャント(※)も含まれており、サッカーファンの間でも話題を呼んだ。
この記事では、甲子園で実際に演奏されたJリーグチャントと、それを取り入れた高校や応援の特色について紹介していく。
(※)チームや選手を応援する際、サポーターが歌う曲やコールなどのこと。

『V-ROAD』(V・ファーレン長崎)
採用校:創成館高校(長崎県)、松商学園高校(長野県)、岡山学芸館高校(岡山県)、山梨学院高校(山梨県)、敦賀気比高校(福井県)、東洋大学附属姫路高校(兵庫県)、鳴門高校(徳島県)など
2001年に結成された日本のロックバンド『FUNKIST(ファンキスト)』が、V・ファーレン長崎への愛と平和への願いを込めて制作した楽曲『V-ROAD』は、今ではクラブを象徴する代表的なチャントとなっている。
その始まりは、クラブがJ2初挑戦を迎えた2013年。トランスコスモススタジアム長崎で行われた試合前にFUNKISTが前座ライブを実施し、そのときに披露されたのが『V-ROAD』の原型となる“勝手に作った応援歌”だった。サポーターの心に深く刻まれたこの曲は、クラブへのエールを強く感じさせるものだった。
初演奏から5年後の2017年。クラブはJ1昇格争いの最中に経営難という危機に直面した。親会社を持たなかった長崎は存続の危機に瀕し、サポーターの間には大きな不安が広がった。そんななか「5年前にFUNKISTが歌ったあの曲を、もう一度みんなで歌ってひとつになろう!」という声が上がり、サポーターが『V-ROAD』をチャントとして歌い始めたのが転機となった。