私は90年代にアメリカ留学中に政治学を専攻する生徒や模擬国連をやっている生徒と原爆と人道について大変激しい議論になったことがあります。
私の周囲はアメリカ南部の白人の学生しかおらず私はたった1人の日本人でした。
生徒の大半は日本の戦争責任を激しく非難し、 原爆がどのような被害をもたらしたかと言うことに耳を傾ける人は全くいませんでした。
しかし今考えると彼らはうすうすどんなことが起きたかと言う事は知っており、 アメリカが行ったことを認めたくないと言う自責の念があったのかもしれません。
そして原爆は日本人には落としたが、ドイツには落とさなかったことは、 地理的に欧州に被害をもたらしたくないからと言うよりも人種差別的な側面があったことも 意識していたのでしょう。
アメリカの田舎の大学で日本の原爆被害を詳しく知っており、 アメリカはひどいことをしたとはっきり言っておられたのは宣教師として終戦直後に日本に赴任し、戦争被害者を救済し、長年日本に住んでいたアメリカ人の教授でした。

広島市原爆死没者慰霊式並びに平和祈念式の様子 2025年8月 首相官邸HPより
この方はキリスト教的なモラルの側面から原爆は全く許されることではなかったと言う見解をお持ちで、 アメリカの学生に対して日本の戦争被害や第二次世界大戦の事実を丁寧に教えることをライフワークにされておられました。
ところが今は完全に潮目が変化しつつあります。
デイリーメールさえこのような意見を掲載し、 東京大空襲や日本の一般人の被害について詳しく語っているのです。
そしてこの新聞だけではなく他の媒体でも広島や長崎の実際の被害やかなり凄惨な動画がネットに掲載されるようになりました。
Netflixではかなり前から「火垂るの墓」が放映されており、 様々な国の人々がアニメを通して日本の戦争体験を学んでいます。 これはかつてのアメリカや欧州であれば全く考えられなかったことです。 原爆の投下を議論することができず、 原爆の被害を科学的に捉えた資料でさえも博物館で 展示することができなかったのです。