犯人の自殺と永遠に閉ざされた真相
逮捕後、黄は刑務所内で二度の自殺未遂を起こした。そして1986年12月4日、研磨した炭酸飲料の缶の蓋で手首を切り裂き、ついに自らの命を絶った。
彼は遺書を残しており、その中で自らの無実を主張。「自分は鄭林に金を貸しており、その担保として店を譲り受けただけだ」と訴えていた。しかし、彼の死により、事件の全貌、特に遺体の正確な行方は、永遠に謎となってしまった。黄志恒という怪物が抱えていた心の闇は、誰にも解き明かされることなく、彼と共に葬り去られたのだ。
呪われたレストランと、終わらない怪談

(画像=黒沙環地区の「八仙飯店」店舗跡。 事件後は借主がつかず、勿泊車(駐車禁止)の文字が書かれた板で閉鎖されている。2015年8月22日撮影Sakaori(talk) –投稿者自身による著作物,CC 表示 3.0,リンクによる)
事件から数十年が経過した今も、犯行現場となった建物には、不気味な噂が絶えない。
「夜になると、すすり泣く子供の声や、包丁を研ぐような音が聞こえる」 「レストランの中を、青白い人影が横切るのを見た」
住民たちは、無残に殺された一家の魂が、今もこの地を彷徨い続けているのだと囁く。そして、この場所で新たに商売を始めた者は、誰一人として成功していないという。まるで、土地そのものが呪われているかのように。
八仙飯店事件は、単なる大量殺人事件ではない。一人の男の強欲が、恐怖と迷信に満ちた、終わることのない怪談を生み出してしまった、現代の悲劇なのである。

(画像=画像は「Amazon」より)
参考:Wikipedia、ほか
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