ほぼ初期費用なし導入可能、Green Carbonの農家支援モデル
導入効果が高い一方で、設備導入にかかる初期コストの大きさや、強制発酵によるクレジット創出の仕組みが広く知られていない点が普及の障壁となっています。
こうした状況を踏まえ、GreenCarbonでは次のようなアプローチを進めています。 「強制発酵設備を導入して2年以内の農家さんには、我々の家畜のふん尿由来J-クレジットの創出プログラムへの参加をお声がけしています。これは、クレジット登録が設備導入から2年以内でなければならないためです」と土居さんは説明します。
設備を導入したもののクレジットの申請のやり方が分からない方、クレジットのことを知らず設備を導入していた方など、登録が可能な方はGreen Carbonが申請をサポートしているとのこと。
さらに導入検討中の農家の方々に対しては、初期費用を抑えた導入スキームと、クレジット創出支援をセットで提供しています。「ほぼ初期費用なしで設備導入ができる仕組みを整えており、経済的支援とクレジット収益の両面からサポートしています。さまざまなスキームを作っていますが、現在は特に多くの乳牛を飼育している農家での展開をスタートしていますので、ぜひ一緒にクレジット創出を進めたい」と土居さんは語ります。
雪印メグミルク・北海道銀行との連携で挑む、クレジット創出プロジェクト
こうした取り組みに加え、GreenCarbonは雪印メグミルク、北海道銀行と連携し、酪農家への支援プロジェクトを開始しました。これにより、設備導入・申請手続きから、クレジットの創出・販売まで一貫して支援しています。雪印メグミルクは8年間にわたりクレジットを継続購入することを決定しており北海道銀行を通じて農家や販売先の拡充も見込まれています。
「農家さんが懸念する申請の煩雑さや販路の確保といった点を、我々が担うことで解消したい」と土居さんは話します。企業にとっても、安定したクレジット供給源となり得ます。
これまで、酪農由来のJ-クレジットは過去10年間で約149トンの発行に留まっていましたが、本プロジェクトでは北海道だけで8年間に約1万1500トンの創出を見込んでいます。背景には、酪農由来のクレジット需要の高まりと、GreenCarbon申請・販売を一括で行うことで、創出の大規模化が可能になったことがあります。
土居さんは「今回のプロジェクトは、全国展開の足掛かりになると考えています。今後は各地域の農家や金融機関、設備事業者と連携し、取り組みを広げていきたい」と意気込みを話します。