ふん尿が「価値」に変わるメカニズムとは

 こうした課題に対し、GreenCarbonが挑むのが「家畜のふん尿の強制発酵によるJ-クレジット創出」です。ふん尿から発生するメタンガスや一酸化二窒素を削減し、その削減分をクレジットとして活用しています。

 従来は、ふん尿を集積し、半年程度かけて発酵する「堆積発酵」が主流で、この間、温室効果ガスが継続的に発生します。一方、強制発酵では専用の発酵設備を導入し、数日で発酵を完了させることで、温室効果ガスの発生を抑制できるのです。さらに、「バイオガス発電」や「放牧」など、発酵手法の工夫による温室効果ガス削減も進められています。

【一次産業×脱炭素で地球を救う #2】牛のふん尿が、カーボンクレジットに。酪農・畜産の脱炭素最前線の画像2
(画像=『Business Journal』より引用)

 この手法は、温室効果ガスの削減に止まらず、従来の畜産・酪農業界の課題解決にも貢献します。

 たとえば、以下のような課題に対応できます。

  • ふん尿から発生する悪臭
  • 飼料コストの高騰
  • 人手不足による作業負荷の増大

などの課題に対して強制発酵の導入により屋外でのふん尿集積が不要となり、発酵期間の短縮によって臭気も軽減されます。また、発酵管理作業の工数削減により、労働負担の軽減にもつながります。

 さらに、近年高騰が続く飼料コストへの対策にもなります。酪農家にとって、飼料コストは約半分を占めており、その飼料コストは16年間で2倍以上に高騰しています。この対策としても、副収入となるクレジット収益の確保や、強制発酵の副産物としての敷料(牛の寝床となるもの)が自家生産できる利点があります。

【一次産業×脱炭素で地球を救う #2】牛のふん尿が、カーボンクレジットに。酪農・畜産の脱炭素最前線の画像3
(画像=『Business Journal』より引用)