ある動画では、親と喧嘩した妹がどこに隠れているか、親が子どもに尋ねます。
子どもたちはビデオの中で、以下の4種類の嘘または真実を語りました。
- 率直に真実を語る
- 真実をいくらか曖昧にして語る
- 微妙な嘘を織り交ぜる
- 露骨に嘘をつく
例えば上記のシナリオで子どもたちは、「妹は玄関の外に隠れている」と率直に真実を語ったり、「宿題をしに図書館に行った」とあからさまな嘘をついたりしました。
また「外にいるかもしれない」と真実をいくらか曖昧に語ったり、「寝たかもしれない」と言い切らない形式の微妙な嘘をついたりするケースもありました。

そして参加者たちは、それぞれの動画を見た後に、信頼性、優しさ、有能さ、好感度、知性、誠実さなど、その子どもの特性を評価。
さらに参加者には、子どもの親だった場合、その嘘や正直さを咎めたり誉めたりするかどうかも尋ねました。
大人は子どもにも「優しい嘘」や「社交辞令」を求めていた
実験の結果、いわゆる「思いやりのある嘘・社交辞令」に該当するケースでは、大人たちは曖昧な真実や微妙な嘘を語る子どもよりも、真実を率直に語る子どもを厳しく評価すると判明。
また大人たちは、「隠れている妹」のシナリオで、「彼女は外にいるかもしれない」と真実を曖昧に語った子どもをもっともよく褒める傾向にありました。
つまり大人たちは「嘘はダメ」と言葉では言いつつ、「思いやりのある嘘」「社交辞令」「真実を曖昧に伝えること」が上手い子どもを高く評価していたのです。
親のこうした感情は、表情や態度など普段の言動で子どもに伝わります。

子どもたちは幼いころから、真実と嘘に関して非常に複雑な環境で成長しているのです。
ブリンシバル氏も、「大人が抱える正直と不正直に関する矛盾が、社交的な影響として子どもの初期の行動を形成しているのかもしれない」と述べました。