実際に、変温動物と恒温動物の老化速度を比較した研究があります。全ての変温動物の老化速度が低いわけではありませんでしたが、カメにおいては特に老化速度が遅いという結果になっています。

ペンシルベニア州立大学のデイビッド・ミラー氏による研究では『暑い地域では、爬虫類の老化速度は速く、両生類の老化速度は遅かった』『性的成熟が遅い動物は長寿で老化速度が遅く、性的成熟が早い動物は短命で老化速度が速い』という結果も出ています。これらの結果の理由は明らかになっておらず、未だ考察が続いているようです。

では、数ある変温動物の中でも、なぜ特にカメだけが際立って長寿なのでしょうか?

それは『他の動物に比べ、カメは死亡率が低く、長寿になりやすいため』と考えられています。キツネに襲われたカメと、キツネに襲われたウサギを想像してみて下さい。どちらが捕食されやすく、死亡率が高いでしょうか?

答えは、ウザギでしょう。カメは硬い甲羅に守られているため、外敵からの捕食率が低いのです。

ちなみに、飼育下における動物が長寿であること、家に住むようになった人間が長寿になったことも、他の研究の結果で明らかになっています。

例えば、ペットの猫は、自由に外出させるよりも、家の中に閉じ込めていた方が死亡率が低くなります。これは、家の中に閉じ込めていた方が、外敵に襲われる確率や病気になる確率、食べ物に困る確率が低くなるためです。

さいごに

娘を箱に入れる父親
娘を箱に入れる父親 / Credit:AC

老化防止のためには『細胞が他のことにエネルギーを使わず、老化防止のためにエネルギーを使える環境を作ること』、長寿のためには『捕食者など、外敵要因による死亡率を低くすること』が重要なようです。

このことから、もし長寿を目指すなら『色々なことを頑張らない』『家という甲羅から出ない』ことが有効なのかもしれません。

ただ、カメは長寿と引き換えにかなり自由な動きを制限されてしまった印象があります。