このように長寿なカメですが、『長寿なだけでなく、老化もしてないのではないか?』と疑われ、老化速度の研究がされています。
まずは、人間の年齢別死亡率について、このような調査結果が出ています。アメリカ社会保障局の調査によると、アメリカに住む50歳の男性が翌年に死亡する確率は約0.5%ですが、80歳になると約6.0%に、100歳になると約35%に増加します。
つまり『人間もカメと同じくらい長寿だが、加齢と共に死亡率も上昇していく』ということです。
加齢と共に死亡率が高くなるということは、加齢に伴い免疫系や骨が衰えていき、老化していることの裏付けでもあるため、ごく自然な調査結果です。
一方でカメについての加齢と死亡率の関係の研究は、南デンマーク大学のリタ・デ・シルバ氏によって行われました。彼は、52種のカメについて調査を行いました。
その結果、調査した種のうちギリシャリクガメやアルダブラゾウガメを含む約75%もの種において、加齢による死亡率の上昇はほぼ見られませんでした。5歳のカメであっても、50歳のカメであっても、死亡率は等しかったのです。
つまり、『カメは、加齢と共に肉体が老化していくわけではない』ということです。
なぜカメは老化しないのか?

では、なぜこのようにカメの老化速度は遅いのでしょうか?
一つは、カメは変温動物であるためと考えられています。変温動物は、外気温に合わせて体温も変化します。つまり、体温を維持するためにエネルギーを費やす必要がないため、細胞の修復にエネルギーを向けることができるのです。
また、変温動物は代謝が低いことが知られます。特に冬場だと外気温に合わせて体温も低くなりますが、そうすると代謝も低くなります。そのため、無駄なエネルギーを使わないよう、冬眠をして無駄なエネルギー消費を避けているのです。