しっぽで気持ちがわかるようです。

中国科学院で行われた研究によれば、犬は見知らぬ人に慣れてくるにつれて、しっぽの振る向きが右側に偏ってくる、とのこと。

犬の気持ちとしっぽの方向については、これまで幾つか研究論文が出されてきましたが、今回はAIのディープラーニング技術とモーショントラッカーを駆使した、より先進的な調査になります。

しかし、いったいどうして犬は安心するとしっぽを右側に振るようになるのでしょうか?

研究内容の詳細は2022年7月9日に『iScience』にて公開されています。

目次

  • 最新科学が犬の気持ちと「しっぽ振りの方向」を検証
  • 偏りは脳機能の左右差が原因

最新科学が犬の気持ちと「しっぽ振りの方向」を検証

画像
Credit:WeiRen et al . Left-right asymmetry and attractor-like dynamics of dog’s tail wagging during dog-human interactions (2022) . iScience

犬が親愛を示す手段として「しっぽ」を振ることは古くから知られています。

しかし近年の研究により、しっぽを振る方向には偏りがあり、犬の気持ちとリンクしていることが解ってきました。

犬は嬉しいとき・安心しているとき・飼い主や友達の犬が近くにいるときは、しっぽ振りが右側に偏り、悲しいとき・緊張しているとき・見知らぬ人や嫌いな犬がいると左側に偏るようになります。

しかし既存の研究の多くは人間の観察眼に依存しており、ビーグル犬などの小型犬の高速のしっぽ振りを適切に判断するのは困難でした。

そこで今回、中国科学院の研究者たちは、犬を見知らぬ人と何度も繰り返し会ったとき、しっぽの振りがどのように変化していくか(経時変化)を、人間の目ではなく機械の目で確かめることにしました。

調査にあたってはまず、犬のしっぽの動きを判別するためにモーショントラッカーのデータを用いてAIを訓練しました。