このロボットは2本のアームとシャフトによって重力と摩擦の影響が極限まで取り払われており、アームにはロボットの「変形(能動的質量移動)」を担当するモーターが設置されています。
準備が整うと、研究者たちはモーターのスイッチを作動させ、測定を行いました。
すると、理論通りの結果が得られました。

曲面に配置されたロボットがモーターによる質量移動(変形)を起こすと、摩擦・重力・空気抵抗など外部との作用反作用に起因しない力が発生し、ロボットは少しずつ球面に沿って前進していきました。
この結果は、物体の周囲から物体が押せるものを排除した条件下でも、物体の変形によって移動が実現したことを示します。
空間の歪みを利用して推進剤なしに飛翔する乗り物ができる

今回の研究により、空間の歪みを反映した現実世界の曲面において、物体の外部との作用反作用に依存しない状況においても、物体が移動できることが実証されました。
研究者たちはこの奇妙な移動原理を利用することができれば、最終的にブラックホールの周囲など空間の歪みが大きい場所において、推進剤を必要としないで移動できる宇宙船を開発できると述べています。
ただ今回の研究結果については、現在のところ、肯定派と否定派が存在しており、最終的な結論を出すには、より大規模かつ高精度の実験装置が必要とされるでしょう。
研究者たちは今後も装置の改良を続け、新たな運動法則とその背後にある理論の有効性を証明していく、とのこと。