カナダも似たような外国人締め出し政策をしており、労働市場がタイトになるはずですが、それでも失業率は改善せず、大学を卒業しても就職できずという問題を抱えています。北米は移民による経済活性化が原動力であっただけにその基本ポリシーを転換したトランプ氏とカナダのトルドー前首相は北米経済の根幹にタッチしたとも言えるかもしれません。両国とも教育や生活レベルが大きく向上し、エントリーレベルの仕事は自分たちの仕事ではないという意識を強くしました。社会で底辺の仕事を誰がするのか、そこに焦点を当てていない今の政策は必ず、どこかで壁にぶち当たると見ています。

日本はアフリカと絆を結べるか?

日本が主導する第9回アフリカ開発会議が横浜で開催されました。これは1993年に始まった日本とアフリカの包括的な連携を探る会議で現在は3年に一度開催されています。細川首相(当時)が始めたもので着眼としては素晴らしいと思います。一方で、官主導で民がまだついて行っていないような気がします。もちろん、日本企業や日本人のアフリカでの活躍も時折目にしますが、まだまだという感じがします。

官主導になりやすいのは中国が「一帯一路」の一環でアフリカへのインフラなどを中心とした投資が進むことへの対抗意識があるのは事実でしょう。日本と中国による新興国への投資や支援はライバル関係といってもよく、東南アジアでは日本が苦い思いを何度もしてきています。一方、中国が先行した投資案件では現地から厳しい批判が出た案件も数多いのが事実です。完成しないインフラ、借金の罠、労働者が中国から大挙してくるなど現地の人の評判が悪いものも数多くあります。ただし、政府同士のディールで決まるので民の声などお構いなしということでしょう。

では日本の民間企業が今、アフリカまで手を出せる余力があるか、と言えばこれには疑問符が付きます。私は「街は西に動く」という発想を信じているので次はインドの時代になるはずでこの栄華は20年程度は続くはずです。その次がどこか、中東なのか、アフリカなのかが判断できず、いずれにせよそれらの国が繁栄するには今から50年かかるとみています。スズキ自動車がインドに早くから投資をしてインドにすっかり溶け込んだケースを考えれば目先の果実よりも種まきできる高い目的意識を持つ人や企業を見つけ出せるのか、ここが肝だろうと思います。

東京都は天国