そして各場面について、次の4つの意思決定スタイルのうち自分ならどれを選ぶかを答えてもらいました。

1つ目は「直感」で、自分の第一印象や感覚に従って素早く決断する方法です。

2つ目は「熟慮」で、自分の頭の中でじっくりと利点・欠点を考えたうえで判断する方法です。

3つ目は「友人の助言」で、信頼できる友人に意見を求めてそのアドバイスに従うスタイルです。

4つ目は「群衆の知恵」で、複数人の意見を集めて多数意見や平均的な判断に従う方法です。

参加者は、これらのスタイルについて、どれを使いたいと思うか、どれが最も賢明だと思えるか、自分の文化の中でどれが一般的だと考えられているか、また実際に使ったらどれだけ満足感を得られそうか、といった複数の視点から評価しました。

調査はオンラインや紙ベース、また南米の先住民族に対してはインタビュー形式で実施され、データの信頼性を高める工夫がされています。

参加者の年齢や教育レベル、文化的背景も幅広く、まさに「人類全体の傾向」を探るにふさわしい設計となっていました。

世界中で共通する「自分で決めたい」傾向

分析の結果、一貫したパターンが浮かび上がりました。

それは、文化や言語を問わず、人は「自分で決めたい」という傾向を強く持っているということです。

最も好まれたスタイルは「熟慮」で、次点は「直感」でした。

多くの人が熟考にせよ、直観にせよ、他人に頼らず自分で考えて決めることを選んだのです。

一方、他者のアドバイスを受け入れる人の割合は、「友人の助言」で9〜22%、「群衆の知恵」は2〜12%と、圧倒的に少数派でした。

ちなみに、先住民族でも自己完結型のスタイルが優勢であることが確認されました。

これは「自己依存」が、特定の文化に偏った傾向ではなく、人類普遍的な意思決定のクセであることを示唆しています。

なぜ人は助言を避けがちなのでしょうか?

心理学的には、自分の意見が最も正しいと思い込む傾向や、助言を受けた場合に失敗したときの後悔を避けたい心理があるとされます。