つまり、光害によって延びた活動時間がもたらす影響は、種や環境条件によって正にも負にもなりうるというのが現時点での結論です。

この研究の限界として、影響の因果関係がすべて明確に解明されたわけではないこと、また個体の健康状態や繁殖成功率などの「長期的な適応度」への影響については今後のさらなる研究が必要であることが挙げられます。

とはいえ今回の研究は、これまで断片的に語られてきた光害の影響を世界規模で体系的に示した初めての成果として大きな意味を持ちます。

そして研究者たちは、今後このデータの蓄積が、気候変動対策と同様の「国際的な光害対策」につながる可能性を強く示唆しています。

研究チームは結論として、「夜の暗さの取り戻すことは21世紀の保全における最重要課題であり、国際的な協力が必要だ」と述べています。

果たして私たちは、夜空に本来の暗闇を取り戻すことができるのでしょうか。

鳥たちのさえずりが告げているのは、もしかすると“自然のリズム”が失われつつある未来への警鐘なのかもしれません。

全ての画像を見る

参考文献

Birds are singing almost an hour longer each day: Here’s why
https://newatlas.com/biology/birds-singing-longer/

Light pollution makes birds across the world sing for longer each day
https://www.eurekalert.org/news-releases/1094950

元論文

Light pollution prolongs avian activity
https://doi.org/10.1126/science.adv9472

ライター

矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。