解析に使われたのは「BirdWeather」という科学プロジェクトのデータです。

このプロジェクトでは、世界中のバードウォッチャーが自宅の庭などに生態音を録音できる装置を設置し、その音声データが中央のデータベースに送信されます。

研究チームはこの膨大なデータのうち、583種の鳥において、さえずり開始(朝)に関する260万件以上、さえずり終了(夕方)に関する180万件以上のデータを分析対象とし、各地点の光害レベルと照合しました。

その上で、鳥の行動にどれだけ影響があるのか、さらにその傾向が種によってどう違うのかを詳細に調査しました。

世界中で鳥たちのさえずりの時間が長くなっている

解析の結果、光害の強い地域では、鳥たちのさえずりが平均で50分長くなっていることが判明しました。

具体的には、そうした地域に住む鳥は、暗い地域の鳥に比べて18分早く朝に鳴き始め、32分遅く夜に鳴き終えるというのです。

興味深いことに、光害の影響はすべての鳥に均等ではなく、特定の特徴を持つ鳥ほど強く影響を受けていることがわかりました。

研究チームによると、目が大きい、開けた場所に巣を作る、渡り鳥である、分布域が広いなどの特性を持つ鳥が、特に大きく行動を変えていたといいます。

さらにこの影響は、特に繁殖期に顕著であることも分かりました。

繁殖期は鳥にとってもっともエネルギー消費が大きく、休息が不可欠な時期です。

そのため、活動時間が伸びることで体力が消耗しやすくなるかもしれません。

それでも研究チームは、現段階で、この変化が鳥にとって良い結果になるのか、悪い結果になるのか、それとも無関係なのかは、まだはっきりしていないと述べています。

活動時間が延びることで、採食時間が増えたり、求愛・縄張りの主張といった繁殖行動が活発になる可能性もあるからです。

実際、鳥類には「片方の脳だけを眠らせる(半球睡眠)」という能力を持つ種もおり、活動中でもある程度の休息が取れる可能性があります。