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これまで明確になっていなかったフリーレント期間の取扱い

オフィスビルなどの不動産賃貸借では、契約当初からの一定期間は賃料の支払いを生じさせない「フリーレント」という契約がよく見られます。

フリーレントの期間については、賃料の支払いはありませんが、契約期間は定められており、中途の解約には制限があります。

そうなれば、全体の契約期間での賃料の支払いは決まっていて、単にその支払時期を遅らせたのに過ぎません。

しかし、このフリーレント期間がある賃貸借契約について、税務上どのように処理すべきかについては、これまで国税当局からの明確な指針が示されていませんでした。

そんな中、令和7年度税制改正に係る改正法人税基本通達において、フリーレント期間が定められた契約に係る借手の法人税処理について明確な取扱いが示されました。

そこで、今回は、新たに創設された「フリーレント通達」についてまとめてみようと思います。

これまで実務で多かった処理方法

フリーレント期間がある賃貸借契約について、これまでの実務では主に以下の2つの処理方法が考えられていました。

① 賃料の支払日の属する各事業年度に損金算入する方法

実際に賃料を支払った時点で損金に算入するという考え方です。

フリーレント期間中は賃料の支払いがないため損金算入もせず、賃料の支払いが開始されてから損金算入を開始するということです。

② 賃料総額を賃借期間で按分した金額を賃借期間中の各事業年度に損金算入する方法

契約期間全体でみた賃料総額を契約期間で按分し、フリーレント期間中も含めて毎期一定額を損金算入する方法です。

実務上、中小企業では、①の方法、つまり賃料の支払時に損金算入するケースが多かったとされています。

これは、明確な税務上の取扱いが示されていなかったことから、より保守的な処理方法が選ばれていたと考えられます。

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