なぜ旧東欧のハンガリーのブタペストが首脳会談の開催地として急上昇してきたのか。その理由を探ってみよう。欧州連合(EU)から「民主主義と法の順守」を求められるなど「欧州の異端児」のオルバン首相はロシアのプーチン大統領だけではなく、トランプ氏との友好関係を享受している欧州の政治家だ。ハンガリー・ファーストを掲げるオルバン首相はウクライナ避難民の救助など人道的な支援は行うが、それ以外のEUの軍事支援、武器供給を拒否し、EUの対ロシア制裁を拒んできた。その背後には、ハンガリーが安価のロシア産ガスの輸入を維持するうえで、ロシアを敵にすることはできない、という判断がある。ハンガリーは2022年4月7日、首都ブダペスト南方にあるパクシュ(Paks)原発への核燃料をロシアから空輸している。同原発はハンガリーの国内電力の半分を供給する。ハンガリーは石油、天然ガスばかりか、原発とその核燃料もロシアに依存しているのだ。
オルバン首相は2023年9月25日、ブタペストの国会演説でロシアと戦争中のウクライナを酷評し、「キーウ政府はウクライナ最西端ザカルパッチャ州に住むハンガリー系少数民族約15万人の母国語の権利を制限している。その権利が回復されるまで、わが国はウクライナを国際政治の舞台では支援しない」と述べたことがある。オルバン首相は、「EUの対ロシア制裁はロシアよりEU加盟国の国民経済を一層損なうだけだ」と繰り返し主張してきた。
一方、オルバン首相は2024年7月12日、大統領選挙中のトランプ氏を訪問し、フロリダ州の私邸マール・ア・ラーゴで会合している。その一週間前の7月5日、オルバン首相はプーチン大統領と会談したばかりだ。。すなわち、オルバン氏はプーチン氏、そしてトランプ氏と米露首脳と良好関係を築いているのだ。米露(ウクライナ)首脳会談のホストとしてはオルバン首相は理想的な政治家といえるわけだ。