業務上、貿易決済がある私も当然ながらステーブルコインの導入には極めて興味がある訳です。まず、現状、カナダから日本に貿易代金を払う場合の流れを説明します。さすが金額が大きいのでネットで処理できず、口座の登録者である私が銀行に直接出向く必要があります。手続きは15分ぐらいで終わりますが、送金側であるカナダの銀行はカナダドル建て送金にもかかわらず、手数料で約5000円取ります。この銀行と日本の受け側銀行はSWIFTの相性がいいので当地の午前中に送れば日本時間の翌日朝には着金しています。
ここからが面倒くさいのです。まず着金情報を銀行に送ります。資金の目的も聞かれます。次に当該輸出代金に相当する請求内訳を全部要求されます。銀行側はそれを全部足し算し、送金額と一致していることを確認して私の日本の会社の口座に円建てで入金してくれるのです。かつて一度だけ、請求書が間違っていて合計金額と送金金額が不一致だったことがあり、その時は一致するまで入金をしてくれませんでした。私もイライラしますが、銀行も私ごときでこれだけの手間をかけていたら作業量は膨大だろうなぁと気の毒に思います。
もしもステーブルコインになったらこの煩わしいプロセスから解放されるのか、ここが知りたいのです。銀行が面倒な事務手続きを行っているのは財務省の指導ゆえです。よってステーブルコインになったら誰がこの面倒な事務手続きをやるのでしょうか?
日本ではステーブルコインの第一号としてJPYC株式会社が発行するJPYCというコインが昨日、資金移動者として国から許可を得たので早々にビジネスを開始すると見込まれます。第一号ということはたぶん、他社、特に金融機関などが続々と似たような仕組みでコインを発行するのではないかとみています。例えば三菱UFJとみずほ、三井住友銀行が提携して開発を進めているステーブルコインは三菱UFJ信託銀行傘下で発行するようで、こちらもGOサインが近いとされています。