特に、音楽や詩、絵画などの芸術的な創造性を持つ人は、魅力的であると評価されることが多く、その結果として交際相手が多い傾向があることが分かっています。

例えば、芸術家や音楽家、作家、そしてコメディアンなど、創造性を仕事として活かしている人々は、そうでない人に比べて恋愛経験が豊富であるというデータもあります。

人類が進化してきた長い歴史の中で、この創造性がどのように発達してきたのかについては、さまざまな仮説が提唱されています。

そのひとつが「性的淘汰(せいてきとうた)」と呼ばれるものです。

性的淘汰とは、異性から選ばれるために特定の魅力的な特質が進化する現象を指します。

例えば、美しい羽を広げてメスにアピールするクジャクのように、人間も自分の魅力を示すための工夫を凝らしてきた可能性があるのです。

特に容姿や経済力といった基本条件が満たされた後では創造性の才能は魅力として働きを強める「贅沢な魅力(ラグジュアリートレイト)」として重視されるとも言われます。

容姿や経済力が同じなら、人間は創造性の才能があるほうを選ぶわけです。

そのため創造性は、この性的淘汰によって磨かれてきた可能性も示唆されています。

それならば異性との出会いや恋愛の状況に直面した時に、人間は自然と創造性が高まるはずです。

実際、過去の研究では、恋愛のことを想像するだけで創造性が向上することが確認されています。

特に、女性の場合は「一時的な遊び相手」よりも「安定した長期的なパートナー」を意識したときに、創造性がより強く引き出されることが知られています。

この理由として、女性は安定したパートナーを得ることが進化的に重要であり、創造性を発揮して自分の価値を相手に伝えることが有効な戦略となるためだと考えられています。

ところが興味深いことに、こうした創造性の向上は万能ではない可能性があります。

例えば、あまりにも相手に惹かれすぎてしまったり、強い性的興奮や緊張感を抱いてしまうと、かえって頭が真っ白になり、自由で豊かな発想が難しくなってしまうことも考えられます。