友達と一緒に映画を見たとき、どんな温度感で感想を言えばいいか困ったことはないでしょうか?
仲のいい友達同士でも、自分が「すごい面白かった!」と思ったものが、相手は「え? 微妙じゃね?」と考えているパターンは少なくないからです。
ではこういうとき、どうやって感想を伝えるのが正解なのでしょうか?
東京大学・大学院総合文化研究科に所属する藤崎 樹(ふじさき いつき)氏ら研究チームは、相手の好みに近い感想をいう方法について調査。
「自分自身の好み」と、想像した「世間一般の好み」を組み合わせると、「相手の好み」に近い回答を作り出せることを発見しました。
研究の詳細は、2022年7月20日付の学術誌『Scientific Reports』に掲載されました。
目次
- 「集合知」が有益な意見を与えるのに役立つ
- 1人で「疑似的な集合知」を生み出すことで相手の好みに近い回答を作り出せる
「集合知」が有益な意見を与えるのに役立つ

あるものに対して、より正確な評価を下したい場合には「集合知」が役立ちます。
集合知とは、大勢の人々の知性を統合したものをいいます。
例えば、イギリスの「ウシの体重を当てるコンテスト」を利用した統計学者フランシス・ゴルトン氏の分析では、集合知のメリットが際立っています。
「参加者600名が提出した推定値の平均」が、「酪農家などの専門家が提出した推定値」よりもずっと正確だったのです。
たとえ素人だったとしても、集団の知性を組み合わせることで専門家を超えることができる、というわけですね。
これは例えば、ネットの商品レビューの平均が、その商品のもっとも正統な評価に近づくのと同じです。(運営側の操作がない前提ならば)

ではこうした集合知は、個人の好みを推定する場合のも役立つのでしょうか?