方法論的には、長期にわたる偏波エポックの積み上げにより、従来はスタティックに近いコンポーネントでしか見えなかった微弱偏波構造を復元し、イメージングアーチファクトを有意に抑制した点が特筆される。VLBI 偏波像のスタッキングが、磁場トポロジーと視線幾何の同時制約、ひいてはドップラー因子と開口角の結合制約へ直結することを、本研究は実証した。今後は同手法を MOJAVE サンプルへ系統適用し、phi_app–theta–delta–Gamma の結合分布を統計的に評価することで、Doppler factor crisis の「個別解」から「母集団統計」への橋渡しが可能となるだろう。
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元論文
Looking into the jet cone of the neutrino-associated very high-energy blazar PKS 1424+240
https://doi.org/10.1051/0004-6361/202555400
ライター
川勝康弘: ナゾロジー副編集長。 大学で研究生活を送ること10年と少し。 小説家としての活動履歴あり。 専門は生物学ですが、量子力学・社会学・医学・薬学なども担当します。 日々の記事作成は可能な限り、一次資料たる論文を元にするよう心がけています。 夢は最新科学をまとめて小学生用に本にすること。
編集者
ナゾロジー 編集部