汚い、臭い、不潔。誰もが避けたいと思う「ウンチ」。それはただの排泄物であり、無価値なものの代名詞だ。…しかし、世の中には信じられないほど高値で取引される、特別なウンチが存在する。

 もちろん、そこらへんの糞コロジーでは億万長者にはなれない。それは特定の動物が生み出したものであったり、とてつもなく古かったり、あるいは特殊な用途があったり…とにかく、誰かが大金を払ってでも欲しがる、奇妙で高価な「ウンチ」の世界を覗いてみよう。

動物の排泄物から生まれる“究極の嗜好品”

1. アンバーグリス(龍涎香)

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(画像=Wmpearl–投稿者自身による著作物,CC0,リンクによる)

 厳密にはウンチと呼べるか議論の余地があるが、マッコウクジラの消化器官で作られ、とんでもなく高価なため、このリストに加える価値は十分にあるだろう。これはクジラの体内で生成される固形の蝋状物質で、排泄または嘔吐によって体外に出される。新鮮なうちは強烈な悪臭を放つが、乾燥すると甘い独特の香りに変わる。この「クジラのゲロかウンチ」は、世界で最も高価な香水の一部に欠かせない原料として重宝され、1ポンド(約450g)あたり数万ドルで取引されることもある。(ただし、アメリカなど多くの国では取引が違法とされている)

2. ジャコウネコの糞コーヒー(コピ・ルアク)

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(画像=ジャコウネコの糞 Wibowo Djatmiko (Wie146) –投稿者自身による著作物,CC 表示-継承 3.0,リンクによる)

 東南アジアなどに生息するジャコウネコ。彼らの糞、というよりはその中に含まれるものが非常に価値を持つ。これが、世界で最も高価なコーヒーの一つ「コピ・ルアク」だ。製造プロセスは実に奇妙。ジャコウネコにコーヒーチェリーを食べさせると、果肉は消化されるが、種子(コーヒー豆)は未消化のまま腸内で発酵し、排泄される。この糞の中から豆を拾い集め、洗浄して作られたコーヒーは、独特の風味と香りを持つとされ、1杯100ドル(約1万5000円)の値が付くこともある。皮肉なことに、ブラインドテストでは数倍安いコーヒーに負けることも多い。