そしてそれが、部下たちのモチベーションや顧客サービスの質にまで波及しているのではないか、という点まで踏み込んでいます。
チームは、パキスタンとモロッコの4つ星・5つ星ホテルで働くマネージャーとその部下たちを対象に、実験とフィールド調査を組み合わせた2つの研究を実施。
これにより、家庭内の人間関係がどのように職場のリーダーやチーム全体に影響を与えるのかを、多角的に検証しました。
では、どのような結果になったでしょうか。
家族に無視されているリーダーは「部下を放任する」と判明
調査の結果、研究チームは非常に明確なパターンを発見しました。
まず、家庭内で無視されているリーダーは、職場で疎外感を強く感じる傾向にあることが明らかになりました。
これは、仕事に対する意味や目的を見失い、感情的に距離を置いてしまう心理状態です。

さらに、こうしたリーダーたちは、放任型のリーダーシップをとる傾向が高いことも分かりました。
具体的には、チームメンバーとの議論を避け、部下の提案に無関心になり、意思決定にも消極的になるのです。
当然ながら、このようなリーダーの態度は、当然ながら部下にも影響を及ぼします。
研究チームは、放任的なリーダーシップにより、部下の「顧客への自発的な配慮や責任感)」が低下する可能性があることを指摘しています。
ではなぜ、このような影響が生じるのでしょうか?
研究チームは、家庭内での問題に対処するために、リーダーが多くの感情的・認知的リソースを消耗してしまうことが原因であると説明しています。
家庭の空気を良くするためにエネルギーを注ぎすぎると、精神的・感情的に疲弊し、職場に使うリソースが残らず、リーダーとしての関与や意思決定力が低下してしまうというのです。
