職場でのリーダーは頼りになる存在であり、組織にとっての中心的存在とも言えます。
そんなリーダーたちが、実は家庭での「人間関係」によって職場でのパフォーマンスを大きく左右されているという、驚きの研究結果が発表されました。
この研究は、アラブ首長国連邦・シャルジャ大学(UOS)を中心とした研究者たちが実施したものです。
研究チームは、家庭内での無視や排斥が職場のリーダーの行動にどのように影響するかを科学的に解明しようと試みました。
論文は2025年6月21日付の『Journal of Occupational and Organizational Psychology』誌に掲載されました。
目次
- 家庭内の問題は仕事にも影響するのか?「家族からの無視」に着目
- 家族に無視されているリーダーは「部下を放任する」と判明
家庭内の問題は仕事にも影響するのか?「家族からの無視」に着目
現代社会において、仕事と家庭はもはや切り離せない関係にあります。
しかし、職場内のストレスについては多くの研究が進んでいる一方で、家庭内のストレスが仕事にどのように影響するかについては、あまり注目されてきませんでした。
特に「Family Ostracism(家庭内の排斥)」という現象、たとえば、「家族の会話に入れてもらえない」「意思決定から排除される」「困難なときにサポートされない」といったことが、リーダーとしての行動や職場のチームにどのような影響を与えるかについては、ほとんど研究がなかったのです。

この研究の目的は、まさにその空白を埋めることにありました。
研究チームは、「家庭内で無視されたり排除されたりしたリーダーは、職場でも疎外感を感じやすく、積極的なリーダーシップを発揮しにくくなるのではないか?」という仮説を立てました。