さて仙崎、と聞いて鉄道ファンなら知らない人はいないのがこの仙崎駅。長門市駅から当駅まで、一駅だけの短い区間で鉄道が走っています。山陰本線仙崎支線です。
昭和5年に貨物線として開業したのち、昭和8年に旅客営業を開始、現在に至ります。今はキハ40が長門市までの間を往復するだけですが、JR美祢線が被災する前は美祢線との直通運転をしていました。美祢線は災害からの復旧が断念され、鉄道の歴史に終わりを告げますが、仙崎支線は山陰本線の一部であるため廃線の対象から外れています。
仙崎駅の待合室にあるかまぼこの板でできたアート作品。ここの描かれた人物をご存じでしょうか。
彼女の名は金子みすゞ。彼女は「こだまでしょうか」という詩をを残していますが、この詩が脚光を浴びたのは2011年に起きた東日本大震災のとき。この時期、多くの企業が広告を自粛しましたが、その広告枠を埋めたのが公共広告機構(ACジャパン)でしたが、この時期に作成されていたのがこの詩を使った広告で、多くの人の心に深く印象付けられることとなりました。2011年の流行語としてノミネートまでされています。
金子みすゞはこの仙崎で生まれ育った童謡詩人です。大正末期から昭和初期にかけて活躍しましたが、その後半世紀にわたりほぼ忘れ去られた存在でした。昭和40年代に童謡詩人によって「大漁」が見初められると再評価され、知名度が向上していきました。
代表作は「私と小鳥と鈴と」。「みんなちがって、みんないい」のフレーズは知らない人はいないのではないでしょうか。多様性を認めようとする現代社会を先取りしたような詩が支持を集め一躍脚光を集めました。
仙崎駅から北へ延びる「金子みすゞ通り」には、商店から民家の軒先に至るまで様々な場所に金子みすゞの詩が掲げられています。
金子みすゞの途中にあるのが「金子みすゞ記念館」。みすゞの実家、仙崎で唯一の書店兼文具店を模して作られています。

金子みすゞの書斎の再現。