まず、自社の業績は2期連続赤字である。令和5年11月期決算の当期純利益は△183百万円(赤字)。令和6年11月期決算(直近)の当期純利益は△2,436百万円(赤字)と、赤字額も拡大している。イマーシブ・フォート東京の不調が影響したと言われる。
次に、クライアントの業績も思わしくない。「刀」は、西武園ゆうえんちのコンサルティングを請け負い、21年にリニューアルオープンさせている。当初は好調だったものの、その勢いは続かず、親会社である西武HDの決算では、23年3月期に32億円、24年3月期に41億円と、合計73億円の減損処理がなされている。
加えて、自社にとって不利益な報道があった。25年6月、NEWSPICKSは、クールジャパン機構が刀に投資した80億円の一部が、森岡氏の個人法人に支払われたのではないか、という疑惑を報じた。刀は7月1日・3日の2回に渡り、プレスリリースで否定したものの、イメージ悪化は避けられない。
ジャングリアの前身プロジェクト「沖縄USJ」は、菅官房長官(当時)が開業予定地を視察した。ジャングリアの記者会見には石破総理が出席している。政府の期待も大きい。
名誉を挽回し、期待に応えたい刀にとって、ジャングリアは成功必達プロジェクトなのだ。
だからこそ、プロモーション・マーケティングに、力が入り過ぎたのではないだろうか。
これは「刀」だけの問題ではない。CGを駆使した映像や、巧みな言葉は期待感を高める、いや高めすぎる。どうすれば、フィクションと受け取られないか。どうすれば、嫌悪感を抱かれないか。この先、広告はさらに難しくなるだろう。
広告を超えられるか
初動で、躓いた感があるジャングリア。だが、木々が成長し、緑が濃くなれば、より「ジャングル」感は強くなる。
第2期として宿泊施設や「日本のコンテンツ」を発信するエリアをつくる構想があるとも言われる。ジャングリアが広告を超えるのは、これからなのかもしれない。

左:開園後写真 右:開園前イメージ画像ジャパンエンターテイメントプレスリリースより