子どもの頃、道路や横断歩道の白線だけを踏んで歩いた経験は、誰しも持っているはずです。

また大人になった今でも、周りの目さえなければ、縁石の上を平均台のようにして歩くこともあるのではないでしょうか?

こうした「あえて難しい道を歩く欲求」は年齢に関係なく、私たちに本質的な習性なのかもしれません。

英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究によると、平坦な道が続く一般的なコースと障害物(バランス台・飛び石・段差)のある難度の高いコースが並んでいた場合、約78%の人が後者を選ぶのだという。

この結果は、都市部の生活でも歩道に適度な障害物コースを設けることで、現代人の運動不足を改善できる可能性を示しています。

研究の詳細は、2022年12月4日付で学術誌『Landscape Research』に掲載されました。

目次

  • 障害物を歩きたい欲求は年齢に関係ない!

障害物を歩きたい欲求は年齢に関係ない!

本研究では、公道を歩く人々が従来のコースよりも障害物のあるコースを選ぶ可能性がどの程度あるのかに焦点を当てました。

そこで研究チームは、イギリス在住の約600人を参加者として募り、一般的な歩道と障害物(バランス台・飛び石・段差・スロープなど)を取り入れた歩道の画像を提示。

参加者に、どちらのコースを歩きたいかを選んでもらいました。

それと同時に、障害物の難易度がコース選択にどれほど影響するかを調べるため、障害物に手すりを付けたり、全体の距離を短くして難易度を調節。

さらに、彫刻や花壇の設置、周囲の人の有無など、心理的な要素も加えて、さまざまなシナリオを提示します。

参加者には、それらのコースへの挑戦がどの程度難しいと思うかを、1(一般的な歩道を歩くのと同じくらい簡単)〜7(とても挑戦しようとは思わない)までの7段階で評価してもらいました。

シナリオを変えながらコースを提示
シナリオを変えながらコースを提示 / Credit: Anna Boldina et al., Landscape Research (2022)