特にアメリカやカナダでその傾向が強いようです。
ドイツ、イタリア、フランスはリーマンショック後は縮小方向に変化しています。
為替レートがドル高に変化している影響もありますが、それほど財産所得の支払が増えていないようです。
3. 1人あたりの国際比較
続いて、人口1人あたりの企業の財産所得について、国際比較してみましょう。

図3 1人あたり財産所得(正味) 非金融法人企業 2023年OECD Data Explorerより
図3は2023年のOECD各国の人口1人あたり財産所得(正味)を国際比較したグラフです。
どの国も企業の財産所得はマイナスになっているのが特徴的ですね。
日本はほぼゼロで、最も財産所得の正味の支払額が少ない国となっています。
主要先進国の中ではアメリカ、カナダはかなりマイナス額が大きい方になりますが、ルクセンブルク、ノルウェー、アイルランドなど経済水準の高い欧州諸国はかなり大きな水準に達しているようです。
ルクセンブルク、ノルウェーは家計の財産所得が少なかったのですが、企業の財産所得のマイナス額は極端に大きいという特徴です。
非常に興味深い傾向と思います。
アイルランドは近年急激に経済水準の高まっている国で、他国からの投資が大きく超過している状況が表れているようです。
4. 対GDP比の推移
異なる見方として、財産所得(正味)の対GDP比についても眺めていきましょう。
まずは主要先進国の推移からです。

図4 財産所得(正味) 対GDP比 非金融法人企業OECD Data Explorerより
図4が主要先進国の企業の財産所得(正味)対GDP比の推移です。
日本は大きくマイナスの水準から上昇傾向となってほぼゼロとなっているのが特徴的です。
元々低水準で横ばいのフランスや、徐々にマイナス水準が大きくなるアメリカ、極端に大きくマイナスだったのが徐々に縮小傾向となっているイタリアなど、国によって傾向が異なるのが印象的です。