ここに来て三菱UFJなど銀行株が利上げ期待で活況になっているので躍進する銘柄が入れ替わる循環相場になるのか、夏の打ち上げ花火となるのか、ここの見極めが必要です。傍で見ている限り、祭りで踊りすぎの兆しは感じます。ところであまり聞かないかもしれませんが、「株価もインフレする」のです。世の中の物価と株価は正の関係であって「今、株価がなぜ上がるかわからない」という評論家の方がいましたが、日経平均の組成を含め、理由はいくらでもあるのです。ただ「踊りすぎにはご注意を」と申し上げておきます。
中国と韓国発の対日関係不安感
東アジアの外交関係には長年、興味を持ち続けている私としてはこのところ、気分が良くないのであります。対中国は石破氏のチームが中国寄りということで通商上の関係は維持されているものの習近平氏は特に今年9月3日の抗日戦争勝利記念日に熱意を持っているとされます。現在放映されている南京大虐殺を描く「南京写真館」も大ヒットのようです。中国でトップクラスの俳優が出演していることも手伝っているのでしょう。また映画のセリフの中で「(中国から見て日本が)友達だったことは一度もない」と述べている点に脚光が集まっているようです。
一方、韓国では李在明大統領は8月15日の演説で日本に対しては経済的関係を含め良好な関係にある点は認めたうえで歴史問題についてはくぎを刺しています。また慰安婦像問題で主導的立場ながらも寄付金横領などで有罪となっていた尹美香元議員らを特別恩赦するなど左派に対して融和的な政策をすると同時に北朝鮮には「触らぬ神に祟りなし」的なスタンスを貫くと述べています。
個人的にはしばらく落ち着いていた歴史問題に端を発する「問題提起」が再び起きかねない素地ができているように感じます。特に中国では「731部隊」の映画が9月に公開されるほか、それ以外にも同様の映画が続々公開される予定です。これらが海外に飛び火する公算もあり、私もカナダ内での動きに目を配らせています。私が気になるのは日本国内で保守的な動きが再びもたげはじめている中、石破首相も岩屋外務大臣も東アジア外交に対してあまり発信していないことです。歴史問題に対する政府の姿勢を見せないと相手方はつけあがることになるでしょう。石破氏は「いいように利用されている」と言われかねないと思います。

8月15日、千鳥ヶ淵戦没者墓苑を参拝した石破首相 首相官邸HPより