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仮想通貨の世界では、取引所を利用して売買する方法が一般的ですが、実はもう一つの方法として「相対取引(OTC取引)」という手段が存在します。

相対取引とは、取引所を介さずに個人同士で直接仮想通貨の売買を行う方法です。大口取引や、特定の価格で取引したいときに利用されることが多く、近年では世界的にも活用が進んでいます。

本記事では、仮想通貨の相対取引について、仕組みやメリット・リスク、さらには税金面での注意点まで、税理士の視点でわかりやすく解説していきます。

仮想通貨の相対取引(OTC)とは?

仮想通貨の相対取引とは、取引所を通さずに、売り手と買い手が1対1で価格や数量を交渉して直接取引を行う方法です。

英語では「Over The Counter(OTC)」取引とも呼ばれます。OTC取引には大きく2つのパターンがあります。

・個人間で直接取引するパターン ・取引所が提供する大口投資家向けOTCサービス

今回は前者、つまり”投資家同士で行う個人間取引”に焦点を当てます。

相対取引の普及背景と市場動向

相対取引は、世界中でそのニーズが高まりつつあります。

たとえば中国では、仮想通貨取引所の規制強化を背景に、個人間での取引が主流となっています。一部のレポートでは、相対取引の取引高が1年で10倍にまで成長したという話もあるほどです。

また、アメリカではGenesis Global Trading社が金融当局からライセンスを取得し、機関投資家向けのOTCデスクを運営しています。

相対取引が選ばれる4つの理由

相対取引が選ばれる主な理由は次のようなものです。

1. 取引所のハッキング・セキュリティリスクを回避 仮想通貨取引所は過去に何度もハッキングの被害に遭っており、資産を預けるリスクが常に存在します。そのため、セキュリティ面を重視する人は相対取引を選ぶ傾向にあります。