終活は遺される家族のために

——最近は、「終活」という言葉の浸透も顕著になってきていると感じます。実際に葬儀社の目線から見て、終活をする方は増えているのでしょうか?

 葬儀に関して生前に準備される方が劇的に増えている、という印象はありません。どちらかといえば、多くの方がイメージし行動している終活は、財産の整理や身の回りの断捨離、介護施設の検討などを指しているように感じます。

 一方で、お墓に関する相談は増えていますね。以前はこちらからお墓についてお伺いすることが多かったのですが、最近はお客様の方からご相談いただくことが多いです。

 自分自身のお墓をどうするかだけでなく、お墓の移転や墓じまいに関する相談も多く耳にするようになりました。

 年代の傾向としては、60〜70代の方々の相談が多いです。自分自身が動けるうちに、という意識が高くなっているのでしょう。

——多くの方がいずれ意識することになる終活ですが、そもそも終活が必要な理由はどこにありますか?

 やはり、「遺される方々のため」ですね。

 葬儀ひとつとっても、参列者や葬儀の規模、祭壇に飾る写真など、事前に伝えられていないと判断に困ってしまうことが多いのです。実際に、葬儀の現場で喪主の方々が困惑する様子を多く目にします。

 故人が本当にしたかったことが見えていないと、遺された方々が「本当にこれでよかったのか」と悩むことになってしまうケースもあるのです。

 また、葬儀だけで終わりません。葬儀後も、相続など対処する項目が数多く存在します。

——終活をした場合とそうでない場合でどのような違いが出てくるのでしょうか?

 まず、葬儀や相続などの、打ち合わせや手続きにかかる時間が違います。

 たとえば葬儀では、亡くなられた直後の打ち合わせは平均して2時間半ほどかかるのですが、終活をしている方の場合、1時間かからずに打ち合わせが終了する場合もあります。

 打ち合わせだけでなく、準備にかかる時間も大幅に短縮されることが多いです。

 これによって、遺族の方々は故人とゆっくりと最後の時間を過ごしてお別れができますし、喪主の方々が葬儀に抱える不安や不満も少ない傾向にあります。

よりよい終活のため、葬儀社や故人・家族ができること

——故人だけでなく、遺族の方にもメリットが多い終活ですが、より世の中に普及するためには何が必要だと感じますか?

 まず、終活は1人でやるには限界がある、という認識が広まることが必要だと感じます。

 どうしても終活をする方は、身の回りの整理など、たった今、自分自身だけでできることばかりに目が向く印象があります。しかし、実際には葬儀や相続関連の手続きなど、故人以外の方がやることのほうが多くあるのです。

 自分の死後に関わる誰かを巻き込んで、「引き継ぎをする」意識で終活を進めるのがよいですね。

 今後、喪主を経験した方が「こういうことをしておけばよかった」「こんな終活をしてくれていて助かった」など、終活の重要性を発信できるようなイベントや終活カフェなどの場が、もっと認知されていくことも、終活普及の一助になると感じます。

——葬儀業界や終活市場が変化していくなか、公益社をはじめとする葬儀社はどういった役割を担っていくのでしょうか?

 これまで葬儀社は、葬儀のお手伝い、サポートをすることが仕事でしたが、今後はその範囲がどんどん広がっていくのではないかと考えています。

 実際、葬儀社は江戸時代に葬儀に使用する道具を貸し出すところから始まり、徐々に葬儀の手伝いや進行を担当するというふうに、役割を変化させてきました。現在は、徐々に葬儀に関わるコンサルタントや、作法や金額の理由をレクチャーするという役割も加わっていると感じます。

 今後は、お墓や相続など葬儀後の分野のサポートも担っていくことが予想されますし、我々のグループではすでにそういった業務を専門に担当する会社も備えています。

 時代の変化に合わせて、葬儀に関わるスタッフも、葬儀に関する知識だけではなく葬儀の前後に関する知識も持っておかなければなりません。

 親戚や近所づきあい、宗教観などが変化し、葬儀や終活に関して迷いが多く生じるなか、多くの方々にとって「相談窓口」や「駆け込み寺」のような存在になれればと思っています。

朝ドラにも垣間見える葬儀業界の変化——プロが語る真にやるべき終活とはの画像5
(画像=『Business Journal』より引用)

「もしものとき、何をすればよいのか」

 その問いに、明確な正解はないかもしれません。

 しかし、準備をしておくこと、信頼できる相手に相談することは、自分自身への安心をもたらします。また、「もしものとき」への不安を話し合い、備えることは、遺される方々への優しさにもつながるのではないでしょうか。

 人生の終わりに寄り添うプロの視点から学び、できることから始めてみましょう。

※本稿はPR記事です。