さらに特筆すべきは、酵素の作用が一時的なものではなく、最大で3ヶ月間にわたりpH上昇効果が持続した点です。
これは、ゼラチン素材から酵素が持続的に放出されることによるもので、短期的な効果にとどまらず、長期的な治療アプローチにも適用できる可能性を示しています。
今後は、大型哺乳類を用いた動物実験が予定されており、尿流による影響や腎組織との相互作用、免疫反応といった、より現実に近い条件下での検証が行われます。
その後、成果が得られるなら、いよいよヒトを対象とした臨床試験へと展開される予定です。
この小さなロボットが、将来的にはメスを使わず、経口薬にも頼らず、「あの悪魔の痛み」を予防・対処する新たな医療の選択肢となるかもしれません。
全ての画像を見る
参考文献
Wiggling magnetic micro-robot goes after kidney stones
https://newatlas.com/medical-devices/micro-robot-kidney-stones/
Soft robots go right to the site of kidney stones
https://uwaterloo.ca/news/soft-robots-go-right-site-kidney-stones
元論文
Kidney Stone Dissolution By Tetherless, Enzyme-Loaded, Soft Magnetic Miniature Robots
https://doi.org/10.1002/adhm.202403423
ライター
矢黒尚人: ロボットやドローンといった未来技術に強い関心あり。材料工学の観点から新しい可能性を探ることが好きです。趣味は筋トレで、日々のトレーニングを通じて心身のバランスを整えています。
編集者
ナゾロジー 編集部