そして、ロボットの片端には小さな磁石が埋め込まれており、体外から回転磁場を発生させることで、内部の磁石が回転。
その運動がロボットをくねくねと「泳がせる」ように動かし、狭い尿路の中を前進させることができます。
ロボットの動きは超音波画像によって追跡することができ、腎盂と呼ばれる腎臓の内部の空間まで、正確に誘導することが可能です。
目的地に到達した後は、体表に貼付した磁石パッチにより、ロボットをその場に留めておくことができます。
またロボットの内部には尿素分解酵素が搭載されており、尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解することで尿中のpH値を上昇させ、結石を溶解させます。
溶解して小さくなった結石は尿と共に排出されますが、同じように、最終的に役目を終えたロボットも尿と共に排出されます。
では次に、実験での様子を確認してみましょう。
ロボットが尿路結石の重量を30%減少させることに成功

研究チームは、人間の尿路を模した3Dプリントモデルを作成し、その中に実際の尿酸結石と合成尿を用いて実験を行いました。
このモデルは膀胱から腎盂までの経路を再現しており、リアルな内部構造や尿の流れを模した環境でロボットの性能を確認できるようになっています。
研究チームは、ロボットを尿道から導入し、外部磁気アームによって腎盂部に配置された結石に到達させました。
ロボットはその場に静止させられ、尿素分解酵素が結石周辺に作用するように設定されました。
その結果、尿のpH値は6から7へと上昇し、アルカリ化によって尿酸結石の溶解が促進されました。
実際に計測された結果では、5日間で平均して結石の重量が約30%減少しており、物理的に縮小したことが確認されました。
