私が懸念するのは若者が就職をゲットするためになんとなく大学に進学し、自分が好きと思う会社に就職するという流れが「直情的」であり、思慮が浅くないかという懸念を持っているのです。人生って回り道をして、失敗して、行き止まりにぶちあったって、崖っぷちに立たされて…を繰り返す中で様々な経験を積み、人間が大きくなるのです。

つまり仕事を得る就活テクニックを駆使し、今の仕事にしがみつけばよいというものではないのです。文学はそういう意味では全く同じで、読んだところで明日の飯には全くつながらないのです。ただ、文学は自分の中にしっかり浸透し、自分を作り出す見えない重要な要素を生み出すアミノ酸みたいなものだとしたらどうでしょうか?

「その勉強、役立つのか」といえばしっかり勉強すれば自分のカラダに染み込むので絶対に役に立ちます。卒業するために要領だけで生きていく人は残念ですが、厳しい社会が待っている気がします。仕事のスキルは時代の変化の中でどんなものにも食いついてやろうという意識を持つことが大事だと思います。自分を専門職化=取捨選択しすぎると後で融通が利かなくなる、だからこそ、文学を読む、つまり人間としてのエキスをしっかり取り込むことが重要だと考えています。

では今日はこのぐらいで。

編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2025年8月14日の記事より転載させていただきました。