第1の実験では、イギリス在住の200名に、ノスタルジーを感じる特定の場所を思い出してもらい、その場所の特徴を自由記述で説明してもらいました。
その後、参加者には、その場所が属する景観カテゴリ(例:海辺、森林、都市、湖畔など)、規模(部屋、家、近所、町など)、そこに何人くらいの人が住んでいたかも、教えてもらいました。
また、記述された文章は言語分析ツール(LIWC)を使って、ポジティブな感情表現とネガティブな感情表現の頻度を分析しました。
その結果、最も多く挙げられたのは「海辺」「川沿い」「湖畔」といった青い風景でした。
実に35%の回答がこれに該当し、他のどの景観よりも高い割合でした。
また、ノスタルジックな場所は「町」「近所」などの中規模なサイズで、人口がまばらであることが多いと判明しました。
さらにこれら青の景色に関する記述では、ポジティブな感情表現がネガティブなものよりも有意に多く使われていたことが、言語分析によって確認されました。
青い風景が心を癒し、自己肯定感を高める

続く第2の実験では、アメリカ在住の398人を対象に、被験者を2つのグループに分けました。
1つは「ノスタルジックな場所」を、もう1つは「普通の場所」を思い出してもらい、それぞれ地図上にその場所をピンで示してもらいました。
それぞれの場所がどれだけ現在地から物理的に遠いか、そして心理的に「近く感じられるか」を評価します。
さらに、場所の景観(海沿いかどうか)や、そこを思い出すことで得られる感情的効果も調べました。
その結果、ノスタルジックな場所は現在地から遠いにもかかわらず、心理的には近く感じられると判明。
また、そうした場所の多くがやはり「海や川などの水辺」に位置していたのです。
加えて、ノスタルジックな場所を思い出した人たちは、愛されている感覚(社会的つながり)や人生の目的や意義が高まるという心理的な恩恵を受けていました。
