昔の楽しい思い出に浸り、幸せな気持ちになることはありますか?
そんな感情を呼び起こす「ノスタルジー(郷愁)」には、単なる感傷を超えた心理的な効果があることが、最新の研究によって明らかになりました。
なかでも、思い出の場所が「青い風景」である場合、その効果は一層強まるようです。
この興味深い発見は、英ケンブリッジ大学(University of Cambridge)の研究チームによって行われました。
研究では、どのような場所がノスタルジーを引き起こすのか、そしてその場所を思い出すことで人々の精神状態にどのような影響があるのか調べられました。
研究の詳細は、2025年5月16日付で『Current Research in Ecological and Social Psychology』誌に掲載されています。
目次
- ノスタルジーは「心の資源」!?どんな場所がノスタルジーを引き起こすのか
- 青い風景が心を癒し、自己肯定感を高める
- なぜ青い景色がノスタルジーを引き起こすのか
ノスタルジーは「心の資源」!?どんな場所がノスタルジーを引き起こすのか

ノスタルジー(郷愁や懐古)とは、一般的に「過去への愛着や憧れの感情」とされます。
少し寂しさを伴うものの、多くの場合はポジティブな感情を喚起し、幸福感や安心感をもたらすとされてきました。
心理学的には、ノスタルジーは孤独や不安、人生の意味の喪失といった負の感情に対する“心理的な防御手段”としても機能することが示されています。
つまり、ノスタルジーはただの懐古趣味ではなく、自己肯定感や社会的つながりを回復する「心の資源」として重要なのです。
そして、これまでの研究は主に「過去の出来事」や「音楽」「匂い」などがノスタルジーを引き起こす要因として注目されてきました。
今回、研究チームは、「では“場所”がノスタルジーに与える影響はどうか?」という問いの答えを探ることにしました。
