まず、農薬や殺虫剤は、人の手で散布しなければならないに対し、寄生バチは自力で繁殖し、害虫を狩ることができます。
また、害虫をピンポイント駆除できるので、農薬のように作物を傷めることもありません。
それから、農薬は繰り返し散布する必要がありますが、寄生バチは自然に世代交代をしてくれるので、一度放つだけで十分です。
さらに、寄生バチは約75万種いると推定され、ほとんどの害虫に対応できると考えられます。
あと大事なポイントですが、人を襲うこともありません。

その一方で、懸念すべき問題がないわけではありません。
たとえば、害虫を退治するために、外来種の寄生バチを導入することがよくあります。
外来種が馴染みのない土地に入ってくることで、生態系のバランスを崩すおそれがあるのです。
寄生バチではまだ例が記録されていませんが、過去にオーストラリアで、害虫駆除のためにオオヒキガエルを導入しました。
当初の反応が上々だったのですが、毒を持つオオヒキガエルは、それをエサとする在来生物にとって致命的となったのです。
寄生バチにも宿主を麻痺させる毒があるので、それを食べる鳥に影響が出ないとも限りません。
しかし、生態系に害がないと確認できれば、これほど便利な害虫駆除はないでしょう。
彼らがいなければ、世界中の作物のいくつかは、害虫にやられて失くなっていたかもしれません。
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参考文献
PARASITIC WASPS TURN OTHER INSECTS INTO ‘ZOMBIES,’ SAVING MILLIONS OF HUMANS ALONG THE WAY
https://www.dal.ca/news/2021/10/29/parasitic-wasps-turn-other-insects-into--zombies---saving-millio.html