平均して週17時間以上、1日2時間半以上をSNSに費やしている計算になります。

しかもこのようなSNSの長時間使用者ほど、「自発的な心の迷い」が多いという傾向が明確に現れたのです。

SNSが「心を奪う」しくみと、それを防ぐ方法

なぜSNSを使うほど、ぼんやりしやすくなるのでしょうか?

研究者たちはその背景に「オンライン警戒心(online vigilance)」という心理的状態があると考えています。

オンライン警戒心とは、「ネット上で何か起きていないか」「誰かから連絡が来ていないか」など、常にオンライン世界に注意を敏感に向け続けてしまう傾向のことです。

これは何かを見たり触れたりしていないときでさえ、無意識に「SNSのことを考えてしまう」状態です。

つまりスマホを見ていないときでも、心だけがSNSに引っ張られているのです。

そして、このオンライン警戒心が強い人ほど、自発的なマインドワンダリングも多くなり、結果的に「注意が今ここにない」状態が長引いてしまいます。

SNSに没頭する時間が長い人ほど、現実の場面で注意散漫になりやすくなるのは、このようなメカニズムによるのかもしれません。

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Credit: canva

ただし、ここで一つ希望の光もあります。

それが「マインドフルネス(mindfulness)」と呼ばれる能力です。

これは「いまこの瞬間」に意識を向ける力で、瞑想などで鍛えることができます。

研究によれば、マインドフルネスのスコアが高い人は、たとえSNSに関する思考が浮かんでも、それに引きずられてスマホを開く行動にまではつながりにくいことが分かりました。

つまり、心の中で何が起きていても、自分で「それに乗るかどうか」を選べる力が、マインドフルネスにはあるのです。

この研究から見えてきたのは、スマホを使う時間そのものよりも、「心がどれだけSNSに囚われているか」が日常の注意力や思考に大きな影響を与えている、ということです。