特に注目すべきは、エリスリトールが「血管を広げる」作用を持つ一酸化窒素の生成を妨げ、「血管を収縮させる」ET-1の生成を促すという逆方向の作用を同時に引き起こしていた点です。
これは脳への血流を低下させ、虚血性脳卒中(血栓によって血流が遮断されるタイプ)の誘因となりうる状態です。
さらに、血液中の血栓を自然に分解する作用を持つ酵素t-PAの分泌も阻害されていたことから、エリスリトールは単に血管機能を損なうだけでなく、血栓を「溶かせなくする」方向にも作用することが示されました。
「ゼロ」は本当にゼロリスク?

砂糖の代わりに、より健康的な選択肢として登場したエリスリトール。
しかし「カロリーゼロ」「糖質ゼロ」という言葉の裏には、見えない代償が潜んでいる可能性があります。
脳という最も大切な臓器の防御システムに、わずかな成分が静かに作用していたとすれば――それは決して見過ごしていいことではありません。
今後の動物研究や臨床研究の進展によって、エリスリトールの安全性がより明確に評価されることが期待されますが、「ゼロカロリー」といった言葉だけで、すべてが安心とは限らないことを、私たちは改めて考えるべきかもしれません。
健康のために選んだはずの甘味料が、知らぬ間に脳のリスクを高めていた。
そんなことにならないように、日々の選択をもう一度見直してみる価値がありそうです。
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参考文献
Common Sweetener Could Damage Critical Brain Barrier, Risking Stroke
https://www.sciencealert.com/common-sweetener-could-damage-critical-brain-barrier-risking-stroke
Erythritol alters brain vessel function and may raise stroke risk
https://www.news-medical.net/news/20250721/Erythritol-alters-brain-vessel-function-and-may-raise-stroke-risk.aspx