実際、東京に住む富裕層の家庭とお互いの子供の教育について会話する機会があったが、自分の「想像以上」だった。
1組目は小学校低学年の子供を2人持つ母親で、週7回習い事をさせていると聞いて仰天した。聞き間違いを疑ったが、やはり「週7回」で間違いない。1日に2つ習い事をする日があり、「ちゃんと週1日フリーの日を設けている」と母親はいっていた。
もう1組も小学校低学年の子を持つ家庭だが、父親が日本最高峰の高学歴である影響からか、すでに中高一貫校をターゲットに勉強をさせている。
子供は複数の塾や家庭教師、英語教師をつけて勉強をさせている家庭で、筆者が就寝するような時間まで勉強をしている話を聞いて耳を疑った。「高学年になったらまだまだ勉強しないと」といっていたのが印象的だった。子供の日常生活にどこにそんな時間があるのだろうか?
これは一部の極端な例ではあるが、OECDの調査でも、日本の高所得層ほど子どもへの教育投資額が突出していることが報告されている。
このようなエピソードに「別に騒ぐほどのものではないのでは?」と感じる人は感覚が麻痺している。日本の大半の家庭、特に地方の家庭はこのような環境ではないのだ。
筆者自身、小さい頃からまともに勉強をしたことがなかったが、自分が勉強をしなかったことで人生前半、大変な苦労をした。そのため、上述した家庭ほどではないにせよ、自分の子供たちにはかなり熱心に勉強やしつけをしている。
仕事量をセーブし、筆者自身も子供たちに勉強を教えている。結果、学力はかなり向上したが、子供の負担は大きいのは間違いない。
心理学研究では、富裕層の子どもは学業成績が高い一方、不安や抑うつ、物質使用のリスクが高いという報告もある。要は「緩やかな自由」ではなく「高密度な期待と管理」の中で成長するケースが多い。
まず幼い時期を見ても、彼らが「人生イージーモード」とは到底思えない。勉強を頑張る子供は大変苦労している。しかも、彼らの苦労は学生時代だけでは終わらない。