「イン・ジ・エンド(リンキン・パーク)」

などが含まれています

その結果、多くの曲でF1スコアが0.90(90%)以上という非常に高い成績を記録しました。

F1スコアとは、正しく叩けていて、しかも叩き漏れがほとんどない演奏精度を示す指標です。(※ごく簡単に言えば正確率と言えるでしょう)

一方で「Paint It Black」は0.792、「Smells Like Teen Spirit」は0.712とやや低めで、これは3つ以上の同時打ちが必要な場面で、ロボットは2打までしか同時に叩けないという物理的な制約によるものです。

さらに注目すべき点は、ロボットが報酬の設計だけから「人間らしい演奏の工夫」を自分で生み出したことです。

報酬のルールは、「正しいタイミングで叩けば加点」「間違いや打ち漏れは減点」「目標に近づくと加点」といったシンプルなものです。

それでもロボットは、交差打ちやスティックの持ち替えといった演奏テクニックを自然に身につけました。

たとえば、右側にあるシンバルを叩く直前に、前のスネアを左手で処理するという動きが観察されました。

これは右手を空けておくことで、次の打点にすばやく移動できるようにした工夫です。

このように、リズムの乱れを防ぎつつ効率よく叩ける戦略をロボットが自ら見つけ出したのです。

なぜロボットは人間のように演奏し始めたのか?

なぜロボットは人間のように演奏し始めたのか?
なぜロボットは人間のように演奏し始めたのか? / Credit:川勝康弘

今回の研究は、AIとロボット工学によって、人型ロボットが自分の力で創造的なスキルを身につけられることを示した点で、大きな意義があります。

特にドラム演奏のように、一瞬ごとのタイミングが正確に求められる表現的な作業を、ロボットが自律的にマスターしたことは注目に値します。

これまでの産業用ロボットやエンタメ向けロボットの多くは、人間があらかじめ動きをプログラムし、それをただ再生するものでした。